弁理士が教える特許実務Q&A◇特許庁への情報提供について①
「情報提供」・「異議申立て」制度の活用をご検討の場合には、以下のページも併せてご覧ください!
>>ビジネスを安心して進めたい!他社の特許成立を阻止/無効化する方法とは?【質 問】
特許調査でライバルメーカーが行っている特許出願を発見しました。
この特許出願で特許請求の範囲に記載されている発明は、
当業界では従来から行っていた事業、製品開発の延長線上にあるものなので、
特許は成立しないのではないかと思います。
ライバルメーカーの特許が成立する事を阻止する目的で、何かできることはありますか?【回 答】
ライバルメーカーの特許出願が権利化されるのを阻止するために、
先行技術文献等を提出する情報提供を行うことが可能です(特許法施行規則第13条の2)。この情報提供で提出された文献等は、審査官の審査に利用され、
拒絶理由通知の引用文献として有効活用されることもあります。情報提供は誰でも行うことができます。
そして、希望すれば提供した情報の利用状況について
特許庁からフィードバックを受けることができます。
また、情報提供は匿名での提出も可能です。
ただ、匿名で提出した場合、このフィードバックを受けることができないことには、留意が必要です。◇提出することができる情報◇
権利化を阻止したい出願に対し、特許要件(新規性、進歩性等)を
満たさないことを示す情報を、書面で提出することができます。
公開公報等の先行技術文献だけでなく、雑誌や、業界紙(誌)、発行日を確定できる
宣伝・広告物、インターネット上の情報なども刊行物として提出することができます。◇情報提供を行う時期◇
情報提供は、特許出願後の特許について、何時でも行うことができます。
基本的には、権利化前の特許出願に対し、情報提供を行います。特許出願に対する情報提供は、一般的には出願審査請求が為された後に
行う方がよいとされます。
通常、出願された特許出願のすべてが審査請求される訳ではありません。
そのため、出願審査請求前に情報提供を行ってしまうと、
その特許出願がまさに他社に注目されており、
特許するに値する出願であることを特許出願人に示し、
かえって権利化を後押しすることになりかねないためです。◇特許出願人への通知◇
情報提供があった事実は特許出願人に通知されます。
情報提供によって特許庁に提出された刊行物は、閲覧申請を行うことで、
出願人を含む誰もが内容を知ることができます。◇まとめ◇
情報提供制度を有効に活用すれば、ライバル企業の特許取得を阻止
できる可能性が向上します。情報提供は、短期間・低コストで他社の
権利化を阻止できる手段ですので、積極的な利用をお勧めします。
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