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  • 弁理士が教える特許実務Q&A~簡単な工夫は特許取得不可能か?~

    2020.10.26カテゴリー:

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    【質 問】
    当社の製造装置に少し改良を加えたところ、ずいぶんと使い勝手がよくなりました。
    また、改良により、生産性も向上しました。
    ほんのちょっとした工夫に過ぎないのですが、
    おそらく、この業界ではまだ採用されていない技術と思います。
    このような、少しの改良では、特許出願しても特許は認められないでしょうか?

    【回 答】
    少しの改良・工夫であっても、その改良を行うことを容易に思いつくことができない場合や、
    改良により予想を超える良い効果等が得られた場合、特許が認められる可能性は十分にあります。

     特許の成立要件の一つに、「進歩性」というものがあります。
    これは、すでに世の中に公開された発明に基づいて、容易に発明できるか(容易想到であるか)
    という点を判断するものです。
     例えば、その改良部分が全く新しいものである場合や、その改良を行うことを
    示唆する文献・先行発明が存在しない場合、その改良発明を完成させるのは簡単ではないといえます。このような場合、当該改良発明には進歩性があると判断されます。

     一方で、その改良部分が、すでに存在する発明の単なる組み合わせであったり、
    適宜行う設計事項の変更(成分の含有量の数値範囲の変更など)にすぎない場合、
    進歩性がないとされることがあります。
    この場合であっても、改良を加えることにより、「有利な効果」が得られる場合には、
    進歩性が認められることがあります。
     ここで、有利な効果としては、従来知られている効果とは異なる場合(異質な効果といいます)や、従来の効果よりも際立っている場合(顕著な効果といいます)が挙げられます。
    そのうち、異質な効果とは、例えば、ある化合物について水への溶解性を高める効果
    を付加した場合、同時に製剤安定性が向上し、保存性に優れるといった効果も付与される場合の効果を指します。

     このように、簡単な変更に過ぎないと判断した発明であっても、
    実際には特許を取得可能な発明である可能性は十分にあります。
    このような発明は競合他社に特許を取得されてしまう可能性もあり、
    その場合、今後の事業展開に支障をきたすことになりかねません。
    自社の発明に特許性があるのかどうか、一度専門家である弁理士等に相談されるのもよいでしょう。

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