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  • ~先使用権の成立要件~

    2021.05.19カテゴリー:

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    ※「経営資料センター特許事務所だより」より抜粋して紹介しております。

    特許権者から「特許権侵害になるので実施を中止してください」と申し入れを受けた場合、
    自社が以前から実施していた行為であれば、中止せずに、実施事業を継続できることがあります。

    これは、「先使用権」というものが認められるためです。(特許法第79条)

    先使用権とは、他者の特許出願時に、その特許出願に係る発明の実施等を行っている者は、
    所定の要件を満たす場合、特許発明の実施を行うことができる権利です。

    先使用権が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。

    (1)自ら発明したこと
    先使用権が認められる者は、独自にその発明をした者である必要があります。
    また、他者の発明の内容を知らないで発明をした者から、その発明の内容を知った者にも
    認められます。

    (2)事業またはその事業の準備をしていること
    先使用権は、発明を完成させただけでなく、日本国内で当該発明に係る
    実施の事業を行っているか、その事業の準備をしている者に認められます。
    (「事業の準備」=事業の実施の段階には至らないものの、即時実施の
    意図を有しており、これが客観的に認識される態様、程度において表明されていること)

    (3)事業を継続していること
    他者の特許出願の際、発明の実施である事業を行っていたとしても、
    その後「事業の準備を断念」し、それを再開した場合には、先使用権が認められない
    とされた例もあるため、注意が必要です。

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