弁理士が教える特許実務Q&A◇特許出願後の内容追加について◇
知的財産に関する基礎知識や、みなとみらい特許事務所の弁理士によるコラムなど、
実務上お役に立つと思われる情報をお送りいたします。【質 問】
先頃、特許出願していただいた発明について、基本的な原理は同
じですが、少し変更を加えるともっとよくなるとわかりました。先
頃の出願にこの改良を付け加えることはできませんか?それとも、
新しく特許出願しないといけませんか?【回 答】
原則、出願完了した後の出願書類に、新たな技術内容(改良した
発明)を加えることは認められていません。
しかし、「国内優先権制度」を利用すれば、先に出願した特許出
願(先の出願)に新たな技術内容(改良した発明)を追加し、出願
すること(後の出願)ができます。
今回は、この国内優先権制度について説明します。◇国内優先権制度とは◇
国内優先権制度とは、新たな技術内容(改良した発明)を加えた
出願(後の出願)について、先の出願に開示された内容の優先権を
認める制度をいいます(国内優先権制度:特許法第41条第1項)。
優先権が認められることで、先の出願と重複する内容については、
先の出願の出願日を基準とした審査がなされます。そのため、国内優先権制度を利用することで、先に出願した基礎
発明と、これを含む改良発明とを、包括的に保護することができます。◇国内優先権の留意点◇
先の出願から1年以内に、新たな技術内容(改良した発明)を加
えた出願(後の出願)をする必要があります。
また、先の出願は、後の出願(改良発明等を加えた出願)の出願
時に特許庁に係属している必要があります。つまり、先の出願から1年経過してしまった場合や、先の出願に
ついて特許査定あるいは拒絶査定が確定している場合には、国内優
先権制度を利用することができません。
国内優先権制度を利用したい場合には、上記点にご留意ください。◇まとめ◇
国内優先権制度は、発明の技術内容を漏れなく網羅的に保護するこ
とを目的とした制度です。
そのため、継続的な研究開発を行い、改良発明を創り出す研究開発
型の企業様には、この制度の活用を強くお勧めすることができます。
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