弁理士によるコラム~特許なのか?ノウハウ秘匿なのか?~
こんにちは。みなとみらい特許事務所、所長弁理士の辻田です。
技術を守る戦略といえば、第1に特許を取得することが挙げられます。
しかし、それと同じくらい大切な戦略に、ノウハウ秘匿があります。特許制度は、「技術を公開することの代償として、独占権である特許権を付与する」
という制度です。
しかし、特許権があれば、必ず技術を守り切れるわけではありません。例えば、
●競合他社が、貴社の特許権を分析し、その範囲を外す設計変更をしてくる。●貴社の技術が、製造方法にかかわるので、
競合他社が特許権を使っているか分かりにくい。このような場合には、特許権があっても、類似製品の市場への参入を
許すことになってしまうリスクが高くなります。貴社が情報開示しなければ、競合他社は、貴社技術に追いつけない
可能性が高い場合には、特許出願をせずにノウハウとして秘匿する
ことを検討すべきです。ただし、大事なのは、イチゼロではないことです。
ある製品に関する製法を守る、といった場合に、他社にたどり着かれてしまう
可能性が高い、広いプロセス概念については特許を取得し、
具体的な条件等の要素についてはノウハウとして秘匿するなど
それぞれの要素の性質を見極めて選択していくことが重要です。また、気を付けなければならないのは、ここ1~2年はノウハウとして
秘匿するのが良かったとしても、2年後には競合他社の技術レベルが上がり、
競合他社が独自に貴社のノウハウにたどり着くかもしれません。そのため、定期的に自社技術の棚卸しを行い、
競合他社の状況に合わせて知財保護の戦略を見直していくことが必要です。
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