弁理士が教える 特許実務Q&A~新規発明製品が外観にも特徴を有するときの保護~
※「経営資料センター特許事務所だより」より抜粋して紹介しております。
【質 問】
当社が新規に開発した発明品は、技術的に新規であるだけでなく、
その外観・形態がこれまでになかった特有のものになります。
この外観・形態を保護することはできますか?【回 答】
物品の見た目、外観・形態、いわゆるデザインを保護する方法のひとつに、
「意匠権」による保護があります。今回は、技術的な観点から創作の保護を図る「特許」と、
物品の見た目、外観・形態の保護を図る「意匠」との関係を説明します。■特許権と意匠権
特許権で保護される発明は、
「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」です(特許法第2条)。一方、意匠権で保護される意匠は、
「物品の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合、建築物の形状等又は画像であって、
視覚を通じて美感を起こさせるもの」です(意匠法第2条)。どちらも創作を保護するという点では共通しますが、特許は技術的観点からの保護、
意匠はデザインの観点からの保護を図るものであるという点で異なります。■特許と意匠とによる複合的な保護
上述の通り、特許権と意匠権では保護対象が異なります。
そのため、一つの製品に対して特許権・意匠権の双方で保護することにより、
製品を強固に保護することができます。例えば、株式会社ワコールは、スポーツシャツのCW-Xという製品について、
構造的な側面から特許権、デザインの側面からは意匠権によって保護を図るべく、
特許権と意匠権の両方を取得していました。模倣品が出回った際には、特許権侵害の主張は難しかったものの、デザインが酷似していたことから、
意匠権侵害を主張し、販売の差止めなどに至ったこともありました。
これは、特許権と意匠権による複合的な保護が功を奏した事例です。
(参考:経済産業省特許庁『事例から学ぶ意匠制度活用ガイド』)このように、ビジネスにおいては、一つの製品に関して、
複数の知的財産権により複合的な保護を図ること(いわゆる「知的財産権ミックス」)で、
技術、デザイン、ブランドの模倣に多面的に対抗することができることが必要になる場面もあります。上記の例以外でも、商品のデザインを保護するために、
商標権と意匠権を共に取得する事例も増えています。■新規な創作をどのように保護するか
新製品を保護する場合には、特許のみでの保護、意匠のみでの保護、特許と意匠の双方での保護など、
いろいろな方法があります。弊所にて無料相談も承っておりますので、お気軽にご相談ください。
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